爆笑テレモカぐり日記 〜コールセンターより愛を込めて〜

とうとう三十路に突入した健康食品通販コミュニケーターもかぐりの毎日繰り広げられるお客との爆笑エピソード、あくの強いおばさ、あ、いや先輩方とのやりとりをつづった全て実話の物語。

「三月いっぱいで、会社辞めます」

「・・・そう、決めたんだったら仕方ないわね・・・」

退職を伝えた時、ボスは静かに笑っていた。

・・・ちなみに三つ編み・メガネっ子スタイルで。

最終日、みんなの前で挨拶、拍手、花束をもらって、

「じゃ、ボスお疲れ様でした〜」

結局その日の遅番だったので、一番最後まで会社におり、一緒にいた後輩ちゃんとボスの三人で駐車場までテクテク歩いて行った。

「うん、じゃあね、もかぐりちゃ・・・体に気をつけて・・

うっ、ううっ・・っ


「・・・!?」

車に乗り込んでこれでおさらばじゃ〜っとばかり思っていたのに、いきなりボスが泣き始めた。

「ぼ、ボスっ?!」

「ほんとはねっ、辞めてほしくないのよっ、で、でもっ、ヒック、あなたのためだからと思ってっ、ヒ、ヒックッ」

・・・しゃっくりあげて、子供のように泣きじゃくられても・・・しかも抱きつかれても・・・

まだまだ寒い熊本の夜八時の寒空の中、40歳強のボスに泣きながら抱きつかれて、私は途方に暮れていた。

隣では、後輩ちゃんがブルブル震えながらも、帰るに帰れないでいた・・・。

「な、なんで今頃になって泣くんですか〜泣くなら会社の中で泣いてて下さいよ〜っ」





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今年はまだ、ピンクハウスな私のボスの花粉症はひどくないらしい。

去年はひどかった・・・。
電話取るのが仕事なのに、マスクしてたり、電話の途中で
「ゴホッ、ゲホッ・・・失礼しました・・げぇほっ」
お客から「あんな人が電話に出るだなんて、一体なんて会社なんだ!(怒)」・・・とクレームを言われやしないかと、見てるこっちがヒヤヒヤしたものだ。

「・・・」
ようやく静まったかな・・・と思ったら、ぼぉ〜っとしてて。
ぼ、ボスっ、焦点があってませんよっ

挙句の果てには、
「もかぐりさん、私、具合が悪いので帰ります。グシュっ、グスンっ」
「あ、はい、お大事に・・」
あまりの具合の悪さに泣きながら帰っていく、40歳弱の女。

そして、次の日・・・
「おはようございま・・・ボっ、ボスっ、どうしたんですかそれっ?!」

ボスは・・・黒いサングラスをかけた状態のままでカスタマーセンターの自分の席(一番目立つ場所)に座っていた。
「実は今朝、寝る前にささなきゃいけない目薬を、間違ってさしちゃって、日の光を目に浴びちゃいけないのよ。だから恥ずかしいけど今日1日これで行くから」

・・・だからって、西部警察の渡さんなみのそのサングラスはどうかと・・

しかもいつもどおりのその三つ編みで・・・



ミスマッチ・・・この言葉の使い方をこのときほど感じたことは、ない。

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今年も忘年会の時期がやってきた。
アウトバウンド、インバウンド、企画、製作、総務事務、発送などなど、全社員が勢ぞろいするのはこの日くらいだ。

「もかぐりちゃんこっちに来なさい〜」
「もかぐり、飲め!」
「もかぐり先輩〜」
あちらこちらからお声がかかる。
そう、もかぐりは三度の飯より酒が好き。
夕食はポテチとビールで充分生きていける。
もかぐりの酒好きは周知の事実の為、こういう時は盛り上げ役に丁度よいのだろうし、もかぐり自身も楽しみである。

そしてもう一つの楽しみは・・・
「ボ、ボス、今日もまた一段とすごいっすね」

うちのボス、カスマーセンターで一番えらい人は、今年で40強。


フリルが5段重ねのピンクハウス。


ピンクハウスのフリフリの中でも特にひどい、あ、いやすごい。

(・・・今年ははりきってるな・・・)

誰もが心のなかでそう思っていた。

「ちょっともかぐりちゃん、あなたの上司はあいかわらずねぇ」

と話し掛けるアウトバウンドで一番えらい村上さんの服は・・

・ヒョウが一頭、大きな口をあけて威嚇している絵がプリントされてい


た・・・。



どいつもこいつもじゃん!
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そして本日、二時より会社をあげての大掃除が始まった。

遅番シフトの私は、皆が掃除中にまだ食事をたらたら食べていたので焦りましたが


食事から戻ると、そこは戦場。


「ちょっとっ、そこは私がさっきしたでしょ!」


「どいてどいてっ!荷物運べないじゃないっ」


「誰かあたしの雑巾とった?!」



わいわいがやがやの大騒動で行われていた。
アウトバウンドのおばちゃんたちって怖い。

「あ、もかぐりさん戻ってきたわね。じゃ私はトイレ掃除にいってくるわ」
ボスが待ってましたとばかりに席を立つ。
見れば手はすでにゴム手袋に包まれている。


・・・それで電話とっていたのか・・・


そういえば今日のボスの格好は、いつもはフリフリなピンクハウスなボスの格好は・・・


ジーンズ。


珍しすぎて目が識別を拒否していたのか、今気づいた。

「トイレの次は階段でしょ〜、それから食堂とぉ・・・」


もうどうぞ、好きなだけやっちゃってください。
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「おはよう!もかぐりさん」
・・・一瞬他人の振りをしようかどうしようか迷ったが、
「おはようございます・・・」
「さっ、行きましょう」
颯爽と歩く彼女の後ろを、少し離れてとぼとぼ歩く。
ビジネスマンなどが多いの中で、行き交うものはみな彼女を振り返って見ている。
私は紺のスーツ
なのに、彼女はピンクハウス
「ほらほら、もかぐりさん。乗り遅れちゃうわよっ、もうっ」
・・・ピンクハウス妙齢の女性に腕を引っ張られて走る三十路のスーツ女。

人々の目にはどう映ったのだろうか。
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通信販売のコミュニケ−ターはほど毎日が会社の中での仕事で終わる。
営業のように外に行く必要もない。
しかし、今回、私とボスの二人で他見に出向かなければいけなくなった。
「カスタマーセンター研修」
全国から通信販売を行っている会社のリーダー達が集い、改めて自分たちの立場と指導方法を学び、部下の育成をしていくための勉強会である。

「それじゃ、明日駅に九時前に集合ですね」
「ええ、今日は荷物の準備などもあるでしょうから早めに帰りなさい」
研修は二日間に分けて行われる。なのでお泊りの準備が必要となる。
「はい、お言葉に甘えて失礼いたします・・・あ、ところでボス
「なに?」
「あ、いえ、なんでもないです。それじゃ」
服装はもちろんスーツですよね?

そう聞きたかったが、そんなあたりまえの事いちいち確認しなくてもいいか。
私は会社を後にした。
そして次の日、駅で彼女を待っていた私が目にしたのは・・・。
「おはよう!もかぐりさん」
さわやかな春の訪れを告げる妖精のような、ピンクハウス姿のボスであった。
 
→またまた続く

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